最後の校庭一周

それは、じっとしていても汗が吹き出るような夏のさなかの出来事でした。
元々持病があった小学生の娘が、その年の夏休み中に体調が急変し亡くなりました。親のひいき目かもしれませんが、学校が大好きで、クラス中の人気者で夏休み中も友達と遊び、夏休み明けの学校を非常に楽しみにしていました。
葬儀の打ち合わせが進むなかで、当時は娘のために何かしてあげられたらなどの気も回らず、ただ、ライフケアの担当の方から聞かれたことにお答えしていると、打ち合わせの最後に担当の方から「火葬場へ行く際、通われていた小学校の校庭を霊柩車で一周なさいませんか」と提案をいただきました。
小学校に霊柩車でということに最初は戸惑いましたが、担当の方が本当によくしてくださり、学校関係者にも直接ご説明いただき、ご理解をいただいた上で実現してくださいました。
また、当日は一周するだけではなく、夏休み中でしたが、先生方が声をかけて来られる児童たちを集めてくださいました。校庭や校門で児童・保護者の方々に娘のお見送りをしていただいて涙が止まりませんでした。担当の方が、進んで動いてくださったおかげだと思います。
私が何も考える余裕がなかったなか、娘にとっても素晴らしい見送りをすることができ、いつまでもずっと記憶と心に残るお葬式となりました。

担当者より

故人様の小学校でのお話をお父様より伺い、担任の先生に連絡させていただきましたところ「とても学校が大好きだった」ということに他の先生方も同感されていました。
ご出棺後の小学校経由は、お父様や先生方とお話させていただくうちに、こんなことができないかと思い、学校関係の皆様方のご協力のもと準備をさせていただきました。
最後にお父様より何度も「娘が喜んでいる姿が浮かびます」と仰っていただきました。
これからも、悲しみはありますが悲しむだけのお葬式ではなく、ご家族が新たな一歩を踏み出すきっかけになれるお葬式のご提案をさせていただきたいと思います。